変形性膝関節症
病態
二足歩行の人間は年齢を重ねるにしたがって筋力の低下と体重の増加により膝への負担が大きくなる。膝関節内のクッションの作用をする軟骨や半月板は変性(しわや白髪のような年齢による変化と同じ)し、損傷や断裂を認め、軟骨がすり減った後残った骨(大腿骨・脛骨)にすべての体重がかかり膝はO脚に変形していく。
症状
階段や歩行時など体重をかけたときの痛み、水がたまる、正座ができない。
治療
根本治療はなく病気を理解した対症療法となるため、これ以上進行させないことが大事である。
<保存療法>
リハビリテーションによる大腿四頭筋訓練やストレッチ、減量指導、内服や外用薬の処方、ヒアルロン酸などによる関節内注射。
<手術療法>
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軽度変形
関節鏡視下手術膝に約5mm程度の創を2か所作り、そこに関節鏡を挿入し変性した半月板を切除する。
利点:短期入院(数日間)、早期社会復帰
欠点:長期的には疼痛が再燃し、変形の進行をすすめる可能性がある
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中等度変形
高位脛骨骨切り術膝関節を構成する脛骨の内側を楔状に骨切りし人工骨を挿入後プレートとスクリューで固定。
利点:自分の関節が温存できる、損傷した軟骨が再生する可能性がある
欠点:入院期間約6週、部分荷重から開始、数回の手術が必要、変形がすすみ人工関節の手術になる可能性がある
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高度変形
人工膝関節置換術大腿骨と脛骨を金属物で置換し、軟骨の変わりのポリエチレンを挿入する。
利点:入院期間約4週、早期荷重可能、疼痛の改善度が高い
欠点:正座ができない、再手術や感染の可能性がある